劇場版「ルパン三世・THE・ファースト」を観た。
THE・FASTとサブタイトルが示すように
今回はルパンの原点回帰的な物語となるのだろうとは
予想していたけどある意味良い方向で
裏切られた感がある。初期のルパンを
今風にアレンジするのではなく山崎監督が描くちょっと
ドジっ子なところもありつつ基本はカッコイイ大人で
あり続けようとするルパンの姿勢は中々にグッ!と
来るものがあった。
それはルパンだけではなく次元も五右衛門も不二子も
更には銭形さえもカッコイイ大人であった。
まあその分対比としてヒロインのレティシアが
少々お子様っぽく描かれているものはちょっと残念。
またこの作品は至る所にカリ城のオマージュが
散りばめられていて
もしかしたらルティシアはクラリスのオマージュの
可能性もあはるので?と思ってしまったぐらいだ。
物語終盤ではこれって天空の城ラピュタ?って感じる描写もあったし
物語は開封した者に莫大な財宝が手に入ると言う
鍵の箱を狙う謎の少女とルパン一味にナチス復活を企むゲラルト一味の攻防戦が描かれる。
物語冒頭、ルパンと銭形のカーチェイスは迫力があり
フルCGだけあってすべてにリアルさが感じられた。彼がが来ている服も本物っぽかったし
次元が撃った弾が案内板のネジに当たり回転させる件や
五右衛門の斬鉄剣で真っ二つにされた輸送車が
爆発するシーンでは細かな部品が吹っ飛び地面に
叩きつけられる細かい描写まで丁寧に描かれているのにはびっくり。
キャラクターもアニメと実写を高次元でバランスよく作られていた。
これがアニメよりならフルCGで描く意味は
あまり感じないし逆にこれより実写よりなら
きっと違和感を感じてしまったことだろう。
インデ―ジョーンズシリーズを彷彿させるストーリー展開強気を挫き弱気を助けるルパンは観ていて
ホントに気持ちいい。
ナチスの研究機関にいたランベールの思いや口惜しさ、教授の孫のレティシアを思う秘めた感情
ゲラルトも方向性はズレているけど
彼なりの心情が描かれているので物語にズレがない
心情が深堀されていないのはちょっと不満だったりする。
物語の出来が良いだけにね。
また最初の方は莫大な財宝の有りかを示すと思われていたブレッソンダイアリーだが
実は飛んでも武器のマニュアルだったのには良い意味で
驚いてしまった。
色々あって最後は大円団となるのだけど
その辺も中々にグッ!と来る展開になっているのは
さすが山崎監督の手腕が光っていると
音楽もいつもの大野雄二で安心出来るし声優も安定の
メンバーなのでガッカリすることもなかった。
ちょっと残念だったかもしれない。
棒ではないにしても感情がもう少し声に籠っていれば
更に良かったのに・・・ね
ランベールの声を当てている吉田鋼太郎とゲラルトの声を当てていた藤原竜也が良い演技をしていたので
余計ずずの演技の残念さをより感じてしまう
結果となった。
あと今回もルパンの非情さと泥棒と言う一面は
すっかりなりを潜めた感はあったけど
これだけ国民に広く知り渡ってしまったルパン三世を
OVAなら兎も角劇場版で変えてしまうのは
誰が監督をしてももうムリなのだろう。
おしまい